だが、リーは激昂して行ってしまった。
私はしばらく呆然としていたが、気を取り直して用意し、汗だくになりながらランを抱いて義母宅へ行ってランを半日ほど預かってほしい旨を伝え、すべてバスで移動して警察局と珂産婦人科の用を足した。
その日から12週目に入るお腹の子を超音波で見てもらうと、男の子と判明。横になり画面を見つめる私にも可愛い突起物が確認できた。
意外だった。
私は自分が男の子を産む絵を想像できなかった。自分は女の子しか産めない気がしていた。
でも、リーの理想は一姫一太郎。次は男の子を期待していたので、さぞかし喜ぶだろうと思うと気は楽になった。リーと反りが合わないのは由々しき厄介ごとだったが、やはりケンカや意地の張り合いは愉快でない。「男の子らしいよ」と告げることで、彼の態度や物腰がやわらかくなりはしないか、望まずにはいられなかった。