義父の四十九日が終わっておらず、いささか気が引けたが、運転免許証の更新手続をせねばならなかったし、台湾の家族も何も異議を唱えなかった。
30度を超える暑さが定着していたにもかかわらず、私もランも体調がすぐれず、それぞれ病院通いをした。私は一種の軽い気管支炎で、ランは風邪だったが、帰国直前に熱を出し、あわてた。それでも、医師は帰国GOサインを出した。
当日は、リーの運転、義母同伴で空港まで送ってもらった。
妊娠中、飛行機には乗ったが、赤ちゃんを連れての搭乗は初めてで少し不安を感じてはいたが、機内に入ると、客室乗務員の方からいろいろ声をかけて来て、助けてくれた。生後6ヶ月のランは座席は必要ないが、当時で約8,000円、大人の5分の1程度のチケットを購入した。壁に設置できる簡易ベッドを取り付けてくれたり、ウエットテイッシュに紙おむつ、ベビーフード一式プレゼントもあった。
客室乗務員たちはその後も業務の手が空くと、たびたびランのところにやって来てあやしたりしたし、赤ちゃんがいると知った乗客まで見に来て、私に話しかけたり、ランの月齢を訊いたりして、なんとも和やかな空気が漂った。粉ミルクを与える時間になり、哺乳瓶を渡すと
お願いした量の温水を快く淹れてきてくれたり、想像以上に快適な子連れ空の旅を楽しませてもらった。
そして、台北ー関空の飛行時間はだいたい2時間〜2時間半。あっという間といえばあっという間だ。私はみんなに重々お礼を述べ、降機した。
関空には、以前香港に発つリーと私を送ってくれた従兄の運転で、両親が迎えに来てくれていた。