夕方、十分休息をとれただろうランをベビーカーにのせ、夕食に出かける。ホテルを出て左手に坂を上り行くと、日本でもよく見かけるような温泉地の繁華街がある。広くない道路の両側に、飲食店や土産物屋がズラリ。特にそこの郷土料理というものはなく、台北で食べるより観光地ゆえいくらか値が高い、馴染みの味からの選択を迫られた。
客引きのかけ声も観光地ならでは、という感じで、派手、しつこい。しつこい店ほど入りたくなくなるのは、リーも同様らしい。
ようやく決めた食堂で夕餉。覚えているのは「三杯鶏」を食べたことだ。他にも何品か注文したが忘れてしまった。
私は鶏肉に目がなく、その風変わりな名前と美味に興味を持ち、リーにいくつか質問した。それまでにも何度か目にしたことのある料理だった。
のちに台湾で本格的に炊事をするようになってから、三杯鶏がどんな料理の本にも載っている、台湾で大変ポピュラーなおかずだと知り、ちょくちょく自分で作るようになったが、そのレシピはまたの機会に伝授することにしよう。
台北よりは値が張るが、それでも日本に比べるとずっと安い台湾での外食に満足しながら、暮れた温泉町をベビーカーを押してホテルに戻った。
明日は再び北上し、花蓮縣の一大観光地、太魯閣へ向かう。