私も初めてその2縣を訪れてみて、彼の言葉が理解できた。適度に拓けていて、自然も豊かで、町並みにうまく植物の美が活かされ、素敵な場所が多い。もちろん、首都台北よりずっと地価や物価も安い。
「しかし、僕がここでできる仕事がないのが問題だな、、、、、今から教職免許取って先生になるってのもテだなあ。」
と言う。私の父はかつて教師をしていた。それはいい!と一瞬思ったが、すぐ我に返り、思わず口を挟んでいた。
「あなたに先生は向いてないわョ。」
私に対してだけかもしれないが、めーったに、いや、ほぼ皆無に近いほど人をほめないリーの性格では、生徒が可哀そうに思われた。
台東で宿泊するのは知本という温泉地だった。
チェックインする前に、お天気もよいことだし、海岸線をドライブすることになった。花蓮も台東も太平洋に面しており、それを見て走る道路も整備されて、自然とお気に入りの曲がずっとBGMに流れてくるほど、映画みたいに美しい。紺碧だったり淡いブルーだったり、海の色も文字通り絵に描いたように鮮やかだ。
後に、台東出身の友人ができたが、彼女は台東での生活を「うんざりするほど退屈なのよ」と話していた。刺激の多い台北に比べれば確かにそうだろうが、やっぱり台東はいい、とあの海を思い出して、今あらためて思う。