夜市に着くと、昼間のように明るく、週末でもないのに夕飯やショッピングに集まる人の波、人の山。私も1〜2度来たことがある夜市で、その気もないのにあまりの安さについつい洋服を見たくなる。
リーには馴染み深い場所らしく、目当ての美味めがけて一直線だった。「台湾小吃」がいっぱいなのだ。これは、台湾に古くからある定番メニューで、牡蠣入り卵焼き、包子、大腸麺線、臭豆腐などなど、屋台が軒を連ねていた。
空腹だったリーが満足するのを待ち、また車まで帰らねばならないと思うと泣きたくなった。私が速く歩けないせいもあるだろうが、往復一時間はかかった。妊娠中は一貫して極度に疲れやすく、夜は一日の疲れがどっとたまるのでふだんならお休みモードに入っている時間でもあった。
帰宅後シャワーを浴び、もらって来た塗り薬を無残にひび割れたお腹にたっぷりと塗る。見た目はとにかく、オソロシイ痒みにだけでも即効を願った。
そして、いつもより遅く11時過ぎにようやく就寝。くたくただった。リーは私と逆の夜型人間で、1時や2時まで起きていることが常だった。
疲れてすぐ眠りに落ちた私だったが、お腹に衝撃を受け、目が覚める。膨らんだお腹から「ポッ」というような音が聞こえたように感じ、ほどなくして強烈な痛みがやって来た。