私自身や日本の両親などは、小さ目でも生まれてから元気で大きくなれば十分、と考えたものだ。
だが、リーはサイズにとてもこだわり、知人などから聞いてきた「胎児を速く大きくする食べ物」を私に勧めた。なかでもいちばん印象に残っているのは、アボガドジュースである。
種類が日本で見るのと異なるのだろう、台湾のは鮮やかな深緑色をしていて、大人の手のひらから優にはみ出すビッグアボガド。それと、牛乳やら砂糖を加え、ミキサーにかけて作るらしい。味も食感もドロッと濃厚だった。
これは、当時これまた妊娠中だった近所に住むリーの従妹がその母親から飲まされていたジュースで、かつて飲んでいた妊婦も胎児も立派に育ったという伝説があった。その従妹はそれを嫌ったが、何でも母親に強制的に飲まされるらしく、そのおかげか、彼女もお腹の子もふくよかだった。
私もアボガドジュースが苦手であった。味は悪くないのだが、たくさん飲むのは苦しかった。その叔母が手作りのそれを2ℓのペットボトルに詰めて持って来てくれたり、リー自らが腕まくりして作るのだから泣きたくなった。