リーは不在にしろ、彼の家に住み、しょっちゅう彼の家族と団欒し、会社では公認の仲となり、毎日のように香港から電話がかかり、穏やかに安否を確認するのが日課だった。
涙で彩られた時間から考えれば夢のような流れに、我ながら戸惑うほどだった。
そのうち、私は香港へ行くことに決まった。1月だったと思う。彼との結婚が決まり、2月で学校と会社を辞めて、3月に香港へ、というスケジュールに落ち着いた。
それから、入籍にしろ、挙式にしろ、私の両親に会って挨拶をしてからにしたいとの彼の意向があり、3月はじめ、一度帰国することになった。私は2週間ほど実家に滞在し、彼は遅れて4~5日間来日して一緒に香港へ帰るという按配だ。
3月というのに雪が舞う寒さだった。南国育ちの彼には、えらく応えたようだった。それでも、近くに住む親戚だけを招いて、簡単なお披露目会を開いた。私は久しぶりに着物を来て、いとこたちを迎えた。
風邪気味の身に着物はきつかったが、本当にうれしい、感激いっぱいの一日だった。