リーは当時36歳で、自ら晩婚と話していた。彼とその家族も認めるように、特に30代前半まではかなりモテたらしい。その年齢以降、お腹が出始め、髪の毛が少なくなり、往時の勢いを失したが、、、、、
たしかにそれはわかるような気がした。写真を見せてもらったし、会社でも彼の仕事ぶりは良く、いわゆる「デキる男」だった。
また、彼は慎重で、ある種古風な面があった。結婚という人生のいち行事を、私以上に重くとらえている風でもあったし、「結婚する以上絶対離婚はしたくない」と常々話した。
あとで聞けば、私が彼を追いかけている時、彼が求婚すれば応じるだろう女性が私の他に4人もいたことがわかった。彼を心配して知り合いの女性を紹介する友達は少なくなかったし、以前交際したことがあり、またリーとよりを戻したい人もいた。34歳だった私より年上の人もいた。
彼がその5人の中から誰を選ぶかを迷っているのではなく、私と半生を歩むことに慎重だったのはわかった。チェンさんだけは例外としても。
その年の旧正月を向かえる頃には、どういうわけか社内にリーと私の仲の噂が流れ始めた。そして、同じ頃私は体調を崩し、香港在住で留守になっているリーのマンションに引っ越さないかと、主に彼の家族が声をかけてくれたのだ。