だが、リーが毎月台湾の本社に帰って来る時は、ケータイで密に連絡を取り合い、社内で話したり、2人で食事に出かけたりしたので、一進一退の状態が続いたと言える。
私たちの仲は社内で極秘にしていた。私はどちらでもよかったが、リーは関係がはっきりするまで公表したくない様子だったので、彼を怒らせないために細心の注意を払った。ふつうに話したり、社内のカフェでお茶していても、もともと近い部署で働いていたし、リーは日本語がかなりできる所以で、そう容易に怪しまれることなはかったのだが、、、、、
そんな折、アメリカにいるチェンさんに動きがあった。留学を終え、台湾に帰国するという。帰途、香港のリー宅へ寄りたいと打診してきた。
リーはその申し出を断わった。その成り行きに、私との事がどこまで影響していたかは測り知れないが、元カノ、チェンさんとの情況をリーが自ら打ち明けてくれたことがうれしかった。
そして、会社にリーの父親か母親が夕方電話してきて、「今夜帰りに寄らない?夕飯一緒に食べようよ」と誘ってくれるようにもなった。
もちろん私は恐縮、緊張しながらも、喜んでリーのいない彼の実家で、リー家族との団欒を楽しんだ。