しかし、一貫して雰囲気は良好と言えた。私はリーが台湾に不在にもかかわらず、こうしてたまらず両親を訪ねて来たのは、彼が以前お付き合いしていた女性と結婚するかもしれないので、とにかく彼が時々話題に上げるお父さんお母さんにぜひ一度お会いしたかったのだと説明した。
そうなのだ、私は特に父親に会いたかった。リーが愛して止まない父親とはどんな人なのだろうと思っていた。
両親は私がリーを慕っていることはよくわかっているようだった。
「チェンさんのことは本人たちに任せてるのよ。まあ、かつていろいろあったからどうかとは思うんだけど、、、」
と言い、自分たちがリーに積極的にその元カノ、チェンさんとの結婚を勧めているのではなく、私にも希望はある、との見解を示した。
和やかな空気の中、私はリー家を出た。気分はよかった。
だが、予想通り、この無断訪問をリーは好ましく思わず、私の両親もあきれた。我ながら、今から振り返っても、よくもまああんなことを、と恥ずかしくなるが、居ても立ってもいられなかった、止められなかった。大事には至らず、なんとか一件落着したのだが、、、、
電話番号を書きとめたメモが出て来てしまった。
あれのせいにしよう。そうしておこう。