土曜日だったと思う。午後、私は自室の窓際でケータイをドキドキしながらプッシュした。出たのは彼の父親だった。
「こ、こんにちは、私、リーさんの会社の同僚なのですが、、、、」
ひどく緊張してそう言うと、
「お〜い、リーの日本人の彼女からだよ。」
と妻を呼んだ。
え? 彼女?
動揺していると、リーの母親が変わって出た。高い声だった。2人の話しぶりから、リーはちゃんと私のことを両親に話しているのがわかった。
「あの、、、、、いつもリーさんにはお世話になっております、、、それで、彼は香港にいるわけですが、ぜひ、一度ご両親のお顔を拝見したいと思いましてお電話差し上げました。今日これからでもおじゃましてよろしいでしょうか?」
ずいぶん厚かましいことを言い出したものだと今さらながら赤面する。案の定、特に彼の父親は、息子が不在の時にそれはまずい、ともっともなことを言ったが、私の勢いと、母親のおおらかな(?)性格のおかげで、何はともあれ会ってもらえることになった。
私は急いで用意し、バス停のそばのパン兼ケーキ屋でロールケーキを買い、バスに乗った。