落ち着け、落ち着け、と自分をなだめていると、少しは整理が付き、見えてくるものがあった。かつてケンカ別れし、治らぬ気まま病にリーも立腹したという元カノだと言う。リーが尊敬し、こよなく慕う父親の勧めはあるにせよ、本当にリーは彼女を今も愛しているのだろうか?
もし、彼がyesと言うなら仕方ない。
私はそう思った。当時私は34歳、恋愛の領域で叶うもの、いくら努力してもどうにもならないこと、人の想いの無邪気さと執着云々のいくらかは心得ていた。ダメなものはダメなのはわかる。
「本当に彼女のことを今でも愛してるの?」
私はリーに問うた。勇気が要った。
扇風機の前に座ったままの彼は、「うー、、、、ん、、、、、、」と口ごもった。「わからないな、、、、、」
希望の光が見えた。まだ崖から落ちずにすむ。彼が彼女を深く愛していると答えたら、潔くあきらめようと思っていた。それならいくら押しても無駄なくらい私にもわかる。
だが、彼は首をかしげ、返答に困っている。
そして私は、今がんばらずしていつがんばるのかとばかり、熱心に熱い彼への想いを打ち明けた。一度、何かをするために腰を上げた彼は、私が座るソファにあらためて座りなおして聞いた。