心も身体もほっかほかになり、また彼の車に乗り込み、夜の道を走った。
私がいいと言うのに、リーは私のアパートが建つ細い筋に入り、門の前まで送ってくれた。
と、そこまではよかった。修道院から持ち帰った大き目のバッグを抱え、礼を言う私に、彼は笑顔でこう言った。
「じゃあ、僕は17日に香港に帰るから。またその時電話でもするよ」
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私は、さっきの鍋のほっかほかが、一気に芯から冷えるのを感じた。え?
それでも気丈に笑い、彼を見送った。
17日にまた電話するということは、この休暇中もう彼からの誘いは無いということなのか。
冷たい石造りの階段を上がりながら、私は進行中かつ構築中だった多くのものが崩れゆくのを感じた。そして、2人が同じ方向に歩んでいると思っていたのも、実は私の独走に過ぎないという信じたくない真実に向き合わざるを得ない現実から逃れようがなかった。
その後、本当にリーは何も言って来なかった。私はしびれを切らし、16日だったかに自分から電話をかけた。彼は悪びれもせず、明るく、
「そうだよ、明日の飛行機で香港に帰るんだ。」
と言った。