2008年12月05日

赦さないのは自分

シスターは私に、この地を離れ、日本へ帰ることをも勧めたが、渡台してまだ日は浅く、志半ばもよいところだったし、何かを得るどころか深い喪失感だけを強いられたような時点で断念はできなかった。
そして、その後も私は長い間一時帰国しなかった。できなかった。一年ほど後、父が肺炎で入院した知らせを受け、ようやく10日間ほど日本に戻っただけだった。
故郷はやはり、愛すべき、愛しい場所だった。父と母もいた。あの山々や田畑の懐に抱かれたら、きっと癒され、傷の治りも速くなるように思えたが、愛しいところだからこそ、元気な、少しでも晴れやかな気持ちで帰りたかった。そんな状態になるまで待っていたのだった。
シスターは聖書のある箇所を引用しながら、私は赦されたと言ったが、その後も私は、自分が自分を赦せず、この半生で最も大きいといえる傷を心に負ったまま、なんとか生きてはいた。夜、ベッドに入るたび、明日目が覚めなければいいのに、、、と思った。泣かない日はなかった。
それでも自らこの世を去ることを踏みとどまらせたのは、私が逝くと悲しむであろう父と母の存在のみだった。
posted by マダム スン at 09:53| Comment(0) | 再び台湾へ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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