8畳ほどのスペースに、机、小型冷蔵庫、セミダブルベッド、洗面所兼トイレが納まっており、やはりバスタブはなかった。あった方がいいのだが、暖かい台湾でバスタブがないのはごく普通のことだった。
冷蔵庫の上にはテレビもあった。いずれも中古で、テレビはケーブルを引いていないため、見ても見なくてもいいような番組が多い5局くらいしか見られなかったが、ありがたかった。
セミダブルベッドとエアコンは新品で、洗濯機はワンフロアに一台、共用だった。
キッチンはなし。ガスコンロもなく、まったく多忙な単身者用住居という体裁だった。
窓外に見えるのは、隣りに建つアパートの壁だったが、日当たりは良好だった。
もらった鍵は2種類あった。1〜3階は、家族で住める一般的な造りになっており、4〜5階だけがリフォームされた単身者用として仕切られていたので、1階と4階の2ヶ所に出入口がある格好になっていた。
テレビ局に勤めるという謎の男性はアパート前に車を停め、私たち関係者3人で車上の荷を4階に運び入れる作業を繰り返した。ひんやりと気温が下がった、晴れた土曜日だった。