お酒には弱い。たぶん、味りんで酔う父の血を引いたのだろう、彼ほど重症ではないが、少量で十分効果が出る。
だが、お酒が好きだった。少し嗜むだけでよかったし、お酒の世界が好きだった。日本酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、カクテル、、、、
それぞれに歴史、産地の特色、作られた謂れがあり、そういう背景や文化との関連を知ることがおもしろかった。
店員と講師とのバランスもとれ、多忙な毎日を謳歌できるくらいになっていた秋のことだった。地元で唯一ともいえる、中国語が上手な私よりいくつか年上の女性に時々中国語を習いに行っていたのだが、その先生から電話があった。
「、、、、、あそこに工場があるでしょう? そこに中国から20人くらい研修生を受け入れるらしくて、私、通訳を頼まれたんだけど、うち、商売やってるでしょ、行けないのよ。あなた、やってみない?」
台湾から帰って、5ヶ月ほど過ぎた11月のことだった。