冬は確かに来る。台北にしか住んだことはないが、20度を切るととても肌寒く感じるようになり、15度を下回れば気象庁は低温注意を呼びかける。よって、真冬でも10度以下になることは稀で、なればそれはそれは極寒の域だ。
もともと暑い土地のため、一般家庭には十分な暖房設備がないことも珍しくない。日本でならとっくにストーブを焚いたり、こたつに入るくらいの気温でも、我慢していっときを乗り切ろうという感じだったから、寒がりの私には台湾の冬がひどく厳しく思えた。
その上、あの当時は時々急に停電した。シャワーを浴び、さあ、ドライヤーを使おうと思った矢先に電気が切れる。寒い。涙も出ないくらいわびしかった。
よく体調を壊した理由は、そんなところにもあったに違いない。